来週号嘘予告



「煤I!!?」

手にした週刊の少年漫画雑誌を握る手に思わず力が入り、掴んだ分部分が皺になるがそんな事に構ってはいられなかった。

今週号は先週から引き続き敬愛する十代目のバトルシーン満載、獄寺にとって見逃せない号であった。
朝十代目をお迎えに行く前にコンビニに立ち寄り煙草と共に少年誌を手に取る。

一限目は数学。
今更教えてもらうような内容でもないので、十代目の為にと作成した対策ノートを渡して屋上へと避難。

手にしたのは今朝買った少年誌。
ドキドキしながら開いた目当てのページ。

やはり十代目御活躍シーン満載の眼福な号であった。

帰りに保存用も買ってこ〜っと♪

そうして、二度ほどじっくり読んだ後に、次回予告が目に入った。

『次回ついに獄寺がヒバリに…!二人の関係急展開!?』

な、何だコレは…!?

この、今週号に全く関係の無い予告…。

数週間前の号では確かに中学生のヒバリと久しぶりの邂逅を果たしたが、それは話の筋書き通り。
それからすぐに自分は意識を失い、後のバリネズミ暴走からは十代目の方へと話が切り替えられた。

だいたい「ついに」って何だ?
ついにも何もねぇよ!
二人の関係って!!?

特に親しくも無いどころか、風紀を乱す草食動物としていつも順調に咬み殺されている。
一応ボンゴレの守護者として仲間と言っていいかもしれない存在…かも知れない。
しかしそれだけだ。
それ以上でも以下の関係でもない。
なのに…。

「やぁ。いよいよ来週だね」

突然耳に飛び込んできた低音。
慌てて振り返るとそこにはヒバリが居た。

「一体君は僕に何してくれるのかな?…楽しみだよ獄寺隼人」

本当に楽しそうにヒバリが笑っているものだから益々大混乱。
だってこんな笑顔を向けられるような関係では無かったはずだ。自分達は。



体を揺すられ意識が浮上する。
どうやら寝ている間にあの悪夢に遭遇してしまったらしく、相当うなされていたのではないだろうか…ぐっしょりと寝汗を掻いていた。

「……っは…。…変な夢見た…」

「どんな?」
「オレとヒバリが…って、…えっ?」

優しくオレの額の汗を指で拭いながら、問い掛けてきたのは先ほどの悪夢に主役級の登場を果たしていたヒバリであった。

ソファに腰掛けて寝ていたオレのすぐ隣。
ヒバリの肩へ身を預けるようにしていたオレ。
回された手は優しく髪を梳き、汗を拭う。

何で?
何で、お前が此処に居る!?

一体何が本当で何が嘘なのか全く分からない。

「大丈夫?」

心配そうに聞かれて、こめかみにキスまで送られて。

その優しい衝撃は普段のトンファーでの打撃よりも威力大。
あまりのショックに俺は考える事を放棄するかのように意識を失った。




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今日の1859第12弾


2008.11.3 1859net

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