日曜日



オレとヒバリの休みが久々にかぶった。
いや、実際はオレに休みなんてもんは無いに等しく…いやいや、本当は休みがあっても仕事に充てていた為、お怒りになった10代目とヒバリの共同作業によりオレは外に連れ出されてしまったんだ…。

ヒバリに手を引かれて、10代目が笑顔で手を振ってお見送り。
そこまでされては、さすがに今回ばかりはオレも諦めて大人しく休むしかない。

休みも久々ならヒバリと一緒に出掛けるのも久々で…何だかんだ言ってもやっぱりちょっと嬉しい…って、そんな事思ってるオレって何か恥ずかしい…。

「どうかした?顔赤いけど体調悪い?」
「い、いやっ!何でもない!大丈夫」
「そう。じゃぁ行こうか」

まずは飯でも食おうと近くにあるカフェに入った。
天気も良く心地良い陽気で、折角だからとオープンテラスの席を取り、オレはオーダーの品が届くまでに、と手洗いへ立った。

そうして戻ってきた時には先程まで自分が座っていた席に見知らぬ女が座っていた。

美男美女の組み合わせ。
ヒバリの隣に居るのがまるで絵に描いたように似合っていて、他の客や道行く人の視線を集めているのが分かって…オレは自分の席へ戻るのを躊躇ってしまった。
店内から二人をぼんやり見ていると此方に気付いたヒバリが立ち上がってオレの方へと向かってきた。

そして、そのヒバリの顔を見た瞬間オレはつい吹き出してしまった。

だってアイツってば女と二人きりの時の顔とまるで違ってて、その変化があからさま過ぎて…。
さっきまで仏頂面だったくせに、今じゃ締まりの無い顔になってる。
女性に失礼だろ!なんて置き去りにされた女が気の毒すぎて、シャマルじゃなくても言ってやりたくなる。
それと同時に、お前本当にオレの事大好きだな、なんて言ってみたくなった。

自惚れなんかじゃない。
ヒバリの表情は言葉に表すよりも顕著にオレにそれを伝えてくれてる。

クールそうに見えて結構喜怒哀楽は分かり易いんだよな。
あんな顔をされては疑いようが無い。
本当にオレの事を好きなのだという事が表情だけでなくヒバリ全体から伝わってくるのだから…。

わざわざ自分の方まで歩いてくるヒバリの方へと自らも近寄って行くと、完全に無視された形の女性が何やら文句を呟きながら席を立って行った。

「よう。色男は大変だな」

わざとらしく笑いながら嫌味を言ってやると一瞬不機嫌な顔になったが、すぐにヒバリも悪戯を思いついた子供のような顔でオレに問い掛けてきた。

「少しはヤキモチやいてくれた?」
「まさか」

むしろ愛されていると思えたよ、ってのは秘密。
余裕の表情で返すオレにヒバリは面白く無さそうだ。

「逆の立場だったら、僕は妬いてたよ」
「うん。そうだろうな」

想像に易いと返して、オレは仏頂面したヒバリの手を引いた。
への字になったその口に軽く口付けると、ヒバリは珍しく驚いた顔でオレの顔をまじまじと見た。

見開かれた黒灰色の目。
口元を覆った男にしては綺麗な手。
珍しい、突然の出来事に反応が追いつかずようやく赤くなる耳。

そんなヒバリがおかしくてオレは笑いが止まらなかった。

二人で過ごす時間はたっぷりある。
さぁ、何をして過ごそうか。




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今日の1859第18弾


2008.11.18 1859net

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